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拡張するリビング

囲炉裏や火鉢が居間の中心にあり、食事や家族の会話がそこを中心としていた時代がありました。その後、TVが現れ、そこに家族が集まり、TVを見ることが日常だった時代がありました。現代は携帯、SNSなどが加わり、自宅での過ごし方も多様化しています。それではTV視聴中心のリビングから次の時代に求めらるリビングというのはどのように考えたら良いでしょうか。事例を元にご紹介します。

□佐々木事務所の提案

①リビングを分解する
どんな広いリビングでもTVの見やすさからソファとの距離は2~3m程です。それ以外のスペースは移動するための空間と考えることができます。図面を描いているとその空間が無駄に思えてしまうことがあります。そこで私たちの提案ではリビングをTVスペースとしてTVとソファだけのコンパクトな場所に分解することがあります。TVを見たい人だけがそこにいて、それ以外の人は隣のデスクスペースやダイニングテーブルで好きなことをする。空間を共有しながら、各々が好きなことができて、時々集まってTVを見ることもできる。リビングを分解しコンパクトなTVスペースを設けたら、次にそれ以外のスペースの可能性を模索します。リビングにプラスαの空間を隣接させるという考え方です。

②デスクスペースに集まる家族
TVを見なくなったひとは何をしているかというと、本を読んだり、PCや携帯に触れていることが多いようです。一例ですが、家族で使える長いテーブルを造作して、新たな家族が集まる場所を作っています。お子さんが勉強している隣で奥様が本を読んだり、ご主人が携帯に触れていたり、家族のコミュニケーションが図れるとてもいい場所になっています。兄弟で勉強を教えあうなんてことも。

③リビングで走ると怒られる?
家の中で走らないっ!と私も子供のころよく叱られました。でも子供は(特に男の子の兄弟がいる家庭では)家の中で走り回りたくなるものです。毎回奥様が注意するのも大変なので、それならば体を動かせる場所を作ればいいと考え、歩くだけの廊下ではなく幅を広げて、多用途に使える場所として計画しています。お子さんが体をつかって遊んだり、雨の日に洗濯ものを干したり、観葉植物を育てたり、ドッグランになっている家もあります。コロナ禍により家庭内での自粛期間中も、自宅にいながら縄跳びやバトミントンなど様々な運動ができて、住宅が予想外に機能していると報告もありました。

④庭、遠景
リビングと庭を一体で計画することがあります。生活が住宅内部で完結せずに庭で過ごす時間も想定した暮らしになります。大きな窓を開けると内外が一体となり、季節の良いときはとても心地よいリビングになり使われている庭は風景としても豊かです。また景色のいい場所に建てられた住宅は遠景が日常の風景として望めるため、朝日や夕日、夏祭りの花火などが自宅内から見えるといったこともあり、時間変化や季節感のあるリビングになります。

■佐々木事務所がお勧めしないもの
・落ち着かないリビングの窓
市街地に建つ住宅で、道路に面したおそらくリビングと思われる部屋に大きな窓を設置している住宅をよく見かけます。当然のように、その多くはカーテンが開けられることなく、閉じています。カーテンがないと安心できないという開口は市街地に建つ住宅では難しいと考えています。カーテンがあっても落ち着かないかもしれません。リビングを考える時に配置計画と共に開口計画は必ずセットで考えるようにしています。良いところ取りなんて不可能と思われるかもしれませんが、室内が明るく、風通しが良く、さらにプライバシーを確保しながら安心して暮らせる開口計画をすることができます。(詳細は開口計画の項で触れます)

・使われ方の根拠がない、数値上広いリビング
広いリビングが欲しい。というご要望に対して、住宅会社等は数値で広さを伝えます。(別に悪いことでも間違ってもいませんが)数値が大きい=ゆとりがあり心地よい! という解釈には疑問があります。前述したとおりTVとソファの距離はある程度決まっているため、ソファ周囲の歩行空間を必要以上に広くすることで数値上の面積は広くなりますが、床面積が増え、コストに反映されてしまいます。お施主さんが欲しいのは数値上の広さではなく空間を広く感じることだとしたら、別の方法もあります。敷地の広さやコストに十分なゆとりがある計画の場合は建物全体のバランスを考慮して面積もゆとりあるリビングを計画しますが、限られたコストを最大限活かす場合は、検討を繰り返しながら、数値は小さくても、広さを感じ、かつ居心地の良いリビングを提案しています。コンパクトなリビングでの映画鑑賞やサッカー観戦は、とても盛り上がります。コンセプトハウスで体感できるのでご希望の方はご連絡ください。

→コンセプトハウス

※住宅計画のある一般の方のみを対象とし同業者の来場はお断りしています。

□事例紹介

A:右からTVスペース、デスクスペース、奥に多用途に使えるインナーガーデン。
  訪れるたびに使い勝手が変わっていて、使い勝手がよく住みやすいと好評です。
B:Aと同じくフレキシブルなリビング。奥の窓を開けると風が抜けて心地よい。
  主に子供のスポーツの練習スペースとして使用。

C:左下がTVスペース。ロの字状の家族スペースと上部のプライベートスペースにより構成。
  TVスペースはコンパクトだが空間の広がりは大きい。

D:風景に向けて大きな開口を設け内外をつなぐ。外にいるような陽が差し、風が流れる。
E:うつりかわる風景が室内の風景となる。最高に気持ち良いリビング。

F:住宅地に建つ住宅。開口の無いリビングは2階高窓から光が降り注ぎ、風が流れる。
G:住宅地に建つ住宅。自然光によって彩りを変える。
  掘り込み型のリビングどこでも腰掛けられてくつろぐ場所を選ばない。

H:TVスペースは2坪だが視界の広がりは20坪の住宅。小さく広いリビング。
  採光は内庭上部の天窓と下階からの反射光。風で植物が揺れ、木漏れ日が床に影を落とす。

□まとめ
TV中心ではない暮らしになり、リビングも多様性を求められています。リビングの使い方を分解、拡散し、新たな用途のスペースを加えることで多様な暮らしが展開できると考えています。そのうえで家族が集まる時間も大切にして、包容力のあるTVスペースも居心地よい場所になるように計画しています。