□倉庫になる子供部屋
以前使っていた実家の子供部屋って現在どうなっていますか?
殆どの方が倉庫になっているという回答が返ってきます。
これから作る新築住宅ですが、30年後、子供部屋はどうなっているでしょうか?
おそらく多くのご家庭では同じような状況になっているのではないかと考えられます。
住宅の1/4程の面積を必要とし、コストがかかっている子供部屋について
新しい視点を持つことで家づくり全体の計画が大きく変わります。
□佐々木事務所の考え方・提案
①子供部屋の中にある用途
A:就寝スペース
B:収納
C:勉強スペース(学習机)
D:遊ぶ場所(兄弟・友人等)
子供部屋に最低限必要なものと考えると私たちの事務所ではA:就寝スペースとB:収納があれば十分だと考えています。後で触れますが子供部屋の用途を分解することで家族のコミュニケーションが高まります。
子供部屋の面積配分の例を下記に示します。
子供3人で広めに計画した場合 :8畳×3部屋=24畳
子供3人でコンパクトに計画した場合:3畳×3部屋= 9畳
24-9=15畳(7.5坪)の差があり、仮に坪60万円にて計算すると7.5×60=450万円、税込み約500万円もの差となり、その分の費用を他の部屋に回したり減額できます。
計算してみると、そんなに子供部屋高かったの?と驚きます。
②子供部屋を使う期間
住宅計画時、お施主さんのお子さんは乳幼児であることが多く、子供部屋は新築から10年位の間は、使われていなかったり子供が時々遊ぶ程度ということが多いようです。その後、20年程の期間は子供の学習・就寝スペースとして使われたのち、新築から30年も経つと倉庫となります。結果として住宅の使用期間のなかで倉庫が最も長かったりします。
【築年数】 0 10 20 30 40 50~
【用 途】空き部屋 子供部屋 子供部屋 倉庫 倉庫 倉庫
③分解された子供部屋
では①で分解されてしまったC:勉強スペースはどうなっているかというと、家族や兄弟で共有できるデスクスペースを設けてリビング以外の家族が集まる場所として計画しています。個人的な感想ですが市販の学習机は小学校低学年には大きく、中学高校となるとサイズが小さく、無理があるかもしれません。
D:子供が遊ぶ場所は子供部屋がコンパクトになった分、リビングを広げたり、インナーガーデンを設けたり、家族の共有空間に計画していきます。
④家族との時間
広い子供部屋にすべての用途が含まれていると、居心地が良くて部屋から出てこなくなります。実はそこが一番問題だと思っていて、「家を建てたら子供との会話が減った」というような話をよく聞きます。子供のプライバシーも大切ですが一生なかで、思い起こすと家族と過ごす時間は長くはないので、家族の時間を大切にしてほしいと考えています。プライバシーは子供が望んだ時に確保する方法があるので、後付けでも対応可能なのです。
■佐々木事務所がお勧めしないもの
・広い子供部屋
上記の①~④の通りです。
・エアコン子供部屋に全部屋設置
ソーラーパネルが必要なのはエアコン台数が多いからだと考えています。エアコンは共有することが可能なので、空気が循環する計画をお勧めしています。
・楽しくない子供部屋
新築住宅だからこそ、もっと自由に子供が喜ぶ空間を提供したいと考えています。
□事例紹介
A:狭小地に建つ住宅。左側が子供ロフト、下部に奥行き1.1mの収納。
右側が家族共有のデスクスペース。限られた建物幅の中で子供部屋を分解した。
B:子供部屋は4畳程。就寝時はプライバシーを確保でき、立つと全体とつながる。
子供が大きくなった現在はカーテンにより間仕切りをされている。
C:各3畳程の子供部屋。就寝時以外は殆どリビング中心の暮らし。
木製ルーバーで緩くプライバシーを確保。
D:中庭に面した4人姉妹のデスクスペース。プライバシーを確保しながら明るく風通しの良い居室になっています。
E1:小さな小窓を設け、座る場所によって見える風景が異なるデスクスペース。
E2:E1の奥にある子供部屋。床下、壁に収納を設置。3畳程だが天井高さ3.5mあり狭さは感じない。寝る時はカーテンを閉める。
F:TVスペースとガレージの段差に設けられたデスクスペース。
G:構造壁の間にデスクを配置。高窓から空を望める。
H:空調を子供部屋間で共有。ロフトの下は収納とデスクスペース。
I:デスク、収納、寝室を分解しつつ、兄弟で空間を共有する子供部屋。中庭に面していて明るい。
帰宅後、手洗いうがいができるように洗面付き。
ロフトのような小さく包まれる空間は居心地がよかったりします。
□まとめ
子供部屋を考えることは、子供の成長や家族のコミュニケーションにもかかわってくる家づくりの重要なポイントだと考えています。実際に家を建ててから、お子さんが勉強するようになった。デスクスペースの使い勝手がいい、子供が寝る時以外は部屋にこもらないから安心。など暮らしの感想を頂いています。子供部屋をコンパクトにしてコストを抑え、子供が喜ぶ空間を用意し、家族との時間も増える。部屋を単体で考えるのではなく、生活全体で考えることでうまれる、新しい暮らしの形があります。
→現在他社様にて計画中のプランに、上記内容にて修正したいというご依頼があれば受付けております。上手く整理できると数百万円の減額につながるかもしれません。