住宅

使いやすいキッチン


キッチンは住宅には欠かせない要素であり、打合せ時に奥様が最も関心をもたれる場所でもあります。ストレスなく食材の出し入れができ、楽しく料理ができること、そのために必要なことを計画毎に検討しご提案しています。他の部屋以上にキッチンは「使い勝手」を優先していますが、家族みんなが料理したくなるキッチンをいつも目指しています。

□佐々木事務所の提案

①距離が大事
玄関、玄関ホール、リビング、ダイニング、その先にキッチン…
どれだけ歩けばたどり着くのだろう~というような図面を建売のチラシなどで見かけると主婦の立場で考えているのかなぁと思えることがあります。
キッチンは使いやすさ重視!買い物から最短距離で冷蔵庫に向かえて、ゴミ出しも簡単。そのうえで、仕様やサイズの検討という手順で検討しています。2階にLDKがある場合も階段近くに設けるようご提案しています。
また、キッチンが建物の奥にあることにより「勝手口」が必要になり、それによりコストアップになり、防犯が心配になり、冬は扉からの冷気で寒くなり…とデメリットも増えてしまいます。キッチンと勝手口はセットが当たり前!ということでもなく、当たり前だと思っていたことが逆効果!ということは建築においても多々あります。

②キッチンメーカーか製作キッチンか
日本には様々なキッチンメーカーがあり特徴もコストも色々。ご要望があればメーカーのものを設置することもありますが、基本的には内装や家具に合わせられる製作キッチンが多いです。
扉、引出しの位置、寸法、食洗器の有無、ゴミ箱スペース等々、自由に設計できます。もちろんサイズも部屋に合わせてミリ単位で計画可能です。気になるコストですが、メーカー品と同等かそれ以下に抑えられるため(60万円位~)多くのプロジェクトで採用されています。天板はステンレス、コーリアン、モールテックス等建物に合わせてご提案しています。

③壁付けキッチンか対面キッチンか
ご要望に合わせて計画しますが、お子さんが小さい場合、調理をしながらお子さんの様子を確認できるため対面を希望されるケースが多いです。それ以外にも調理される方が外の風景を眺められたり、楽しく過ごせるように開口計画と合わせて計画しています。(壁に向かって黙々と。というご要望ももちろんOKです)

④背面収納はコンパクトに
背面収納は(冷蔵庫を除き)最も大きい家電である電子レンジに合わせると奥行きが50㎝程必要です。でも炊飯器、ポット、食器等は30㎝あれば十分です。電子レンジのために背面収納が大きくなっているのです。ある計画でお施主さんからIH(ガスコンロ)の下に電子レンジを設置したいというご要望があり、それ以降電子レンジをIHの下に設置する提案を選択肢に加えています。背面収納の奥行きが抑えられ、収納内のデットスペースも省け、面積が有効利用できます。

⑤キッチン+α
キッチンとダイニングテーブルや家具を一体化することで作業効率が良くなったり、空間に一体感が生まれる場合があります。またパントリーを設けることで、雑多になりやすいキッチンにモノがあふれることなく収めたり、家具を作り付けではなく、別途購入とすることでコストを大幅に下げることができたりします。

⑥キッチンからの風景
平面や開口計画と合わせてキッチンからの風景に配慮した計画を行っています。キッチンは作業効率や設備や扉の仕様だけではなく、心地よく楽しく料理できる空間を作ることがキッチン計画の肝であると考えています。

■佐々木事務所がお勧めしないもの
・高級キッチン、設備機器(キッチンメーカー)
キッチンは消耗品でもあるため、建物全体のコストバランスを考慮した計画にしています。設備機器はご要望があれば海外製品を組み込んで計画することはあります。お勧めはしませんがご要望は受け入れます笑
参考価格ですが食洗器の場合、国内製品10万円~、海外製品50万円~となります。食洗器のコストでキッチンが作れてしまいます笑

・主張の強いカラーのキッチン
住宅の中でも最も大きな家具であるキッチンが、強い発色で主張しますと空間全体の印象が悪くなってしまう場合があるので空間に馴染むキッチンをご提案しています。

□事例紹介

A:左側が玄関、正面にダイニング、右側が洗面室。キッチンに洗面室が隣接しているため朝の作業効率がとても良いとご感想頂いています。
B:玄関とダイニング、キッチンが一体の計画。友人家族が集まって食事することも。

C:通り土間に合わせて玄関収納+キッチン+学習テーブル+テレビ台を一体化した計画。
  調理中に隣でお子さんが勉強してることも!?
D:背面収納とデスクスペースを一体で計画。キッチン前面は本棚。左側奥が玄関。
  キッチンから遠景が見渡せます。
E:キッチンとカウンターを一体で計画。住宅地ですがキッチンから空を見渡せます。
F:玄関収納とキッチンを一体で計画。家具の一部としてのキッチン。

G:パントリーをキッチン背面に設置。冷蔵庫、家電、食品が見えずすっきりしている。
キッチンとダイニングテーブルをコーリアンでフラットに。キッチンから遠景が見渡せます。
H:キッチン奥にパントリー。横移動のみで作業効率良い。パントリー壁の裏はTV台。
キッチンとダイニングテーブルをフラットに。キッチンから空が見渡せます。

IH下の電子レンジと背面収納

□まとめ
キッチンは他の部屋以上に動線や作業効率を優先した計画であることが重要です。それに加えて、そこに立った時に見える景色により居心地が良い場所であることを大切にしています。使いやすく、居心地がよく、かつコストも抑えるにはどうしたらよいか。簡単ではありませんがお施主さんと打合せを繰り返しながら最高のキッチンを目指しています。

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