宇陀の家/House in Uda

光とスケールでつなぐ
古民家改修の作法

敷 地|重要伝統的建造物群保存地区、住宅地

用 途|築150年の住宅の改修、単世帯住宅

要 望|既存を活かした計画、生活空間と来客空間

面 積|建築面積:239.37㎡  延床面積:367.05㎡

概 要|

江戸時代後期、築150年の住宅の改修計画である。

当初紅梅酒の造り酒屋であった建物が数回の改修を経て現在に至る。その後住居の一部が借家になり、改修直前は郵便局が入っていたこともあった。そして郵便局が移転した後は時間が止まっていた。また、この地区は伝統的建造物保存地区に指定されており、本建物にも街路に面する外壁と屋根は復元が義務付けられていた。クライアントからの要望は既存を活かすこと、一年を通じて快適な室内環境を得られること、また住宅の機能に加え、茶事ができる室とギャラリーの設置が求められた。それらを踏まえ、おおらかな古民家をプロポーションの異なる大小のスケールに分割し、そこに大きな開口と、室内をほのかに照らす小さな開口を組み合わせ、水平、垂直方向に光で空間をつなぐ計画とした。

1階はリビングや客間、ギャラリー、駐車場等を配置。既存の田の字プランを活かしながら現代においても柔軟に住うことが出来るよう平面計画を行った。間仕切りは経年変化した既存建具を補修し再利用した。部屋の境界となる鴨居の高さは1.73mであり、潜るように部屋間を移動する。部屋の境界に江戸時代のスケールが生きており、その体感が保存されているのは、この住宅が持つ古く新しい感覚と言える。

2階は一部の居室を除き、小屋裏倉庫のような場所であった。ここに居室と吹抜けを設け大屋根の下に寝室や図書室、水回りなどを設けた。既存建物では東西に小さな窓があるのみで建物中央は暗かった。そこで改修可能な街路の裏側に掃き出し窓を設け、各居室のスケールに合わせて天窓を加えた。光は周辺の居室との関係や用途に合わせている。玄関兼階段室は光の雫がつたうように、ギャラリーは光溜の雲のように、主寝室は霧のような拡散した光が室内を包むように、自然から運ばれてくる光と建築が重なることで、建築がいまも生きていることを感じられるよう再生した。

私たちは新築に限らず生活に必要な機能的な明るさを計画するのではなく、光を通じて自然を建築から感じることや、自然と建築が重なる時に浮かび上がる情景に建築の価値をあると考えている。この計画ではさらに150年前の建築とそれを再生する施工者の技術に常に敬意を払いながら、多くのことを学びながら、これまで新築の計画で取り組んできた意識に響く、光とスケールの実践を試みた。


改修前

改修後