現場日記

産婦人科医院が出来るまで④| 継ぐもの

吉村医院は昔ながらの出産を実践されており本やTV、映画にもなっている。私は不勉強で存じ上げなかったが、地元の友人知人の殆どが知っているほど有名な産婦人科である。
吉村先生が築いて来られたこれまでの在り方と、これからをどの様につなげていくのか、院長はじめ設計者にも想像力が求められた。一新でも既存でもないあり方は現場終盤まで検討を繰り返した。
詳しいことは後述するが、私は自然分娩のお産と同じように、自然の時間、自然がつくる空間を感じられる建築が良いのではとご提案した。空間、寸法、素材、光、風、そのどれもが単独で主張することなく互いに関係し合いながら、人のための環境を作ること。安心できる居場所を作ること。来院される方、妊婦さん、ご家族、院長、助産師さん、看護婦さん、事務職さん、調理スタッフさん、関わる全ての人のことを思いながら限られた敷地に寸法を落とし込みながら、機能的で調和した建築を目指した。つづく

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