ひとりごと

産婦人科医院が出来るまで⑥| アプローチ

自然界の一部である外部空間は内部空間より広い。また外部とは街の一部であり、公共空間である。外部空間をどのように考え、内部空間とどのようにつなぐことが有効であるか考えた。

外部と内部の間は、緩衝スペースやバッファゾーンと呼ばれている。日本には古くから軒下や縁側などがその役割を担ってきた。外と内を緩やかにつなぐことが人の居場所として有効であるという先人の知恵である。さて、そのような緩衝スペースを医院建築に置き換えたらどのようになるか。住宅のように人が佇むというより、病院に入る気構えや恐怖心を少しでも解消出来たり、出入りの際のプライバシーを確保したり、大雨でも困らない工夫もあると良いだろう。敷地に高低差があればスロープも必要であり、階段とは位置をずらしたい。夜間は足元が照らされているとより安全だろう。そのために建物に何かを付属させるのではなく建築本体の延長として(ここでは2730mm間隔の壁と2層分の高さを利用)さりげなく計画されていることが大切である。そんなことを考えながら、模型やCGを何度も見返しながら、利用される方のことを想像しながら検討を行った。

建築はひとつひとつの要望にそれぞれ応えていくと、ごちゃ混ぜになり、コストも増大する。様々な要望、機能を併せ持つシンプルな回答を探す点にこそ、設計の醍醐味がある。つまりシンプルでコストを抑えているのに、あれもこれも叶ってしまうという特殊な一般解を探すのである。最終的には大きなゲートのような場所を作り、その内側を木で覆った。自然や街並みと内部空間をつなぐ、おおらかな半外部空間である。次に、扉を開けると天井の低い、人を包み込むエントランス兼風除室になっている。内外の境界はおおらかに、内部は落ち着く空間にするために寸法を調整した。窮屈さを感じないように、壁面は案内板も兼ねて白い空間になっている。寸法を探し、磨き、組み合わせ、体感から意識に響く建築を作りたいと常々考えている。建築が主張するのではなく、医院であることを意識せず、すっと出入りできる場所になればよいと考えた。つづく

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