concept

建築について

日々流れてくる情報やうつろう価値観に流されないように建築を作り続けることに難しさと楽しさを感じています。わずか数年の状況により価値を失ってしまう建築ではなく、計画段階から多彩な未来に開かれた建築を模索することで持続可能な社会に接続できるのではないと考えています。未来を考えるにあたり、歴史を再解釈すること、視点を変えたアプローチを志向すること、新しい技術を取り入れることを計画時の手がかりにしています。計画毎に要求や考え方は異なりますが、共通しているいくつかの考え方についてご説明したいと思います。

場 / field
日本の街の多くは数十年と新しく、また数年で更新してしまうことも多いため、拠り所を探すことは容易ではなく、また安易に寄り添うことは難しく思います。住宅地や都心部であれば現在の周辺環境に照らし合わせるだけではなく、先の時間軸を含めて考察する必要があります。こういう街になったら個だけでなく場としていい環境になりそうなのに、という願いを込めた提案をすることもあります。また農地など自然が豊かに残っている場所では、その風景に寄り添いながら新しさが浮くことなく、新しい風景として違和感なく溶け込むことを大切にしています。場を考えることによって個の計画ではたどり着かなかったであろう射程の広い環境を手に入れることができる場合があります。

スケール / scale
周辺環境に対する建物ヴォリュームのスケールがあり新たな建物が街の風景に加わることに対して慎重に検討を行います。内部空間においても居室の広さ、天井高さといった空間の広さに関わるもの、扉や階段、取手など人が触れるものなど様々なスケールがあります。それらは孤立したものではなく、人と建築、自然と建築のつながりを生むものとして考えています。設計とは諸々のつながりをスケールに置き換える創作行為といえます。自然界から運ばれてくる光や風、温度などの要素を、スケールによってつなぐことで新しい環境を作ることができます。国や時代に左右されず、記憶に残る建築には、豊かさや繊細さ、心に響くスケールがあり、私たちはそのスケールという素材を用いて人に伝わる建築が作りたいと考えています。

光 / light
光もスケール同様、時代に左右されない価値観の一つだと考えています。現代においては環境やサスティナブルな要素として捉えられることが多く、光が作る風景は古典的と思われるかもしれませんが、世界中を旅行していると改めてその普遍的な強度に対する信頼が深くなります。自然界の中に存在する建築において光はそれらをつなぐ重要な要素であることは疑う余地もありません。